統合失調症なう

世の中から統合失調症への偏見をなくそう!

入院(2)

 (1)のような経緯もあり、私の入院生活は始まりました。私の場合、入院期間はちょうど1カ月ぐらいでした。その間にいろいろな事がありました。

 

 まず、驚いたのは、老若男女、入院患者さんたちの食べる速度のはやいことです(笑私は特に食べるのが早くも遅くもないという自覚があったのですが、常にビリでしたwいつも食堂に置いてけぼりになったものです。いま思うと、食欲が増進されるお薬を飲んでいる方が多かったのかもしれません。看護師さんは「ゆっくり食べていいよ」とおっしゃってくれていましたが、正直焦ってましたw

 

 次に驚いたのが、ケータイが使えないということでした。入院時に、おそらく自殺防止の目的で、金目のものをはじめ、自傷の原因となるようなものは全て没収でした。まさかケータイまで、ということは驚きでした(ちなみに、私の入院した病院では、今はケータイ、スマホOKになったようです)。

 

 ケータイが使えない、ということで、まあ退屈な日々でした。誰かに電話することは出来るのですが、いかんせん公衆電話なので、友人のケータイ番号を暗記しているわけでもなく、電話するといっても実家ぐらいです。それでも私は暇すぎて(あれほど時間が長く感じたのは、子供の頃以来でした)、何度か実家に電話しました。久しぶりにテレホンカードを使いました(笑)

 

 症状がおさまるにつれて、院内外出(といってもロー〇ンぐらいしか行く所もありませんでしたがw)、院外での宿泊(外泊)が許可されました。私の場合、実家に帰って通算で2泊ぐらいした記憶があります。

 

 病棟には色々な人がいました。一言も言葉を発しない人、一日中歩いている人、認知症の人、一晩に6錠睡眠薬を飲まないと眠れないんだと打ち明けてくれた人、一緒に将棋を指す仲になった人、私にロー〇ンで女性週刊誌を買ってきてほしいと頼んでくれた女性の患者さん(あとで看護師さんにバレて一緒に怒られたw)などなど。

 

 正直、もう一度あの閉鎖病棟に入りたいとは思いません。ですが、幾つかの出会いもあり、良い社会経験になったと思います。これから入院をするかもしれないという人も、尻込みしなくても大丈夫です。確かに、変な人もいますし、居心地の良い場所ではないです。でも、閉鎖病棟は世間で思われているほどひどい所ではなかったです。先生や臨床心理士さん、看護師さんなど、スタッフの方々はとても優しかったです。眠れない夜は看護師さんが「もう一錠睡眠薬飲んでもいいよ」と言ってくれました。

 

 また、個室にしてもらえれば、毎日好きな本でも読むチャンスと捉えることも出来ますし、個室でなければ色々な人と情報交換ができるとも言えます。物事はとらえ方次第です。それと、今となって思うのは、あの頃の自分には休息が必要だったのだということです。

 

 そんなこんなで、私の入院生活は終わりました。閉鎖病棟を出られる日は嬉しくてたまりませんでした。それ以来およそ10年が経ちますが、今のところ私があの場所へ戻ったことは一度もありません。これからも入院することが無いのが一番ですが、もし入院することになっても、以前ほど戸惑うことはないでしょう。タバコが吸えないのが辛いところですがね(中には隠れてタバコ吸っている強者もいますが笑)。

 

 精神病棟に統合失調症で入院、と聞くと、大変なことだ!と過剰に反応してしまう人たちも少なくないと思います。しかし、統合失調症の回復過程で入院することは何も珍しい事ではありません。昔、精神分裂病と呼ばれていたころとは違って、一生を病院で過ごすということはほぼ無いといって良いのではないでしょうか? それほどに今は治療法が進歩しているのだそうです。患者の方、ご家族の方、雇用主の方には、その辺の所、ご理解いただければと思います。何も特別なことではないのです。